受託者の責任と義務について、最後は公平義務と帳簿作成義務です。
この三つはボリュームが軽いので合わせてご紹介します。
まず、公平義務は受託者は、受益者が2人以上存在する場合に、受益者らのために公平にその職務を行わなければならないという事を指します。
至極当然と思われますが、信託法において明記されています。
次に帳簿作成義務です。受託者において信託財産についての帳簿や、関連する書類を作成しなければいけないという事を指します。
具体的には、毎年一回は、賃借対照表、損益計算書、試算表等の書類を作成し、受益者に対し報告することになります。
なお、受益者に意思能力がなく、信託管理人が存在する場合には信託管理人に報告することになります。
この帳簿は10年間保存しなければならず、受益者の請求により閲覧させる義務があります。
最後に損失填補義務です。
受託者が任務を懈怠してしまったために発生した信託財産に関する損失は受益者の請求により受託者が責任を負わなければならないことを指します。
5回に分けましたが、以上が受託者の7つの責任と義務となります。
なお、忠実義務にかかる利益相反行為についてはいくつかの類型があり、最も問題になりやすい義務かと思います。
こちらについては、項を改めてご紹介したいと考えております。